2023年12月6日 …更新



My Lifework (1)

2022年12月…更新



 私が 縄文遺跡や古事記、神祇祭祀などに興味や疑問を抱きはじめたのは、
 まだ学生だった頃。
 その時からずっと、日本の文化や歴史について探求し続けています。


 ここに備忘録を兼ねて 少しだけ若き日の出来事などを書きたいと思います。




高校三年生の冬のことです。

私の地元の稲荷神社に 古くて小さな神輿がありました。
長いこと使われずにいたため、かなり痛んでいる状態でした。


氏子の集会で その古い神輿の処分方法を検討していた時、
私の父が「この古い神輿は息子に修繕させる」と言って、
酒屋のトラックに載せて持ち帰りました。


神輿は 実家近くにある酒屋の2階の部屋に置かれましたが、
大学進学の時に 私がその部屋を使うことになったため、
隣の部屋に神輿を移すことにしました。


神輿と隣り合わせ という環境で 私の新生活が始まるのですが、
その時はまだ神輿に関心がなく、学校の授業や課題で忙しくしていましたので、
隣の部屋にある神輿は しばらくの間 手付かずのままでした。



後に私は 大学の3年目を休学することになりました。
その一年間は家(酒屋)の手伝いをしながら 神輿修繕の準備として
神輿の歴史や構造を調べるために、度々図書館や神田の古書店街に
行ったりしていました。


神輿について調べることで、少しずつ神社や神道、
日本神話についても知るようになり、
それまで あまり関心を抱かなかった地元の稲荷神社に対して
興味が高まっていきました。




私の実家は元々農家で、庭の隅に小さな鳥居と祠があり、
それを家族が「お稲荷さん」と呼んでいました。

なので、地元の稲荷神社でも「稲の神様」が祀られてるのだろうと
なんとなく分かっていましたが、神様の名前までは知りませんでした。


こうして「神輿の主」を知るための旅が始まります。

区発行の神社台帳より




2023年6月…更新

1995年、阪神淡路大震災のすぐ後の3月のこと・・・。



休学していた大学へ 3年生として復学する直前に、
私は 車で一週間の一人旅をしました。


富士、琵琶湖、京都、出雲、奈良、紀伊熊野、伊勢など・・
海沿いや山林をひたすら走り、たくさんの名所を巡りましたが、
旅の一番の目的は天橋立の北岸にある神社に行くことでした。



当時は関西地域のカーナビやスマートフォンはありませんので、
度々車を停めて 道路マップを確認しながら目的地を目指します。

当時、運転席で実際に使用した
関西版の道路地図。     

神社に到着した時、すでに日没が間近に迫っていました。

急いで社務所に向かい、巫女さんに こちらの事情をお伝えしたところ、
突然の訪問にもかかわらず 宮司さんとの面会を翌日できるように
手配して下さりました。

そして、この日の夜は 巫女さんよりご紹介いただいた
大鳥居のすぐ横にある民宿に泊まりました。

  

(左)応対して下さった巫女さんは 宮司の娘さんでした。  
(右)泊まった民宿の 玄関の真正面にあった観光案内の看板。




約束した時間に社務所を訪ねますと 袴姿の宮司さんが応接室にて迎えてくださり、
とても興味深そうにして長時間 私の質問や疑問に耳を傾けてくださりました。

若者が目的をもって わざわざ東京から訪ねてくる という事が
当時は珍しいことだったのかもしれません。



私は 地元神社と祭神について説明をしながら
事前に考えていた質問を順番に伺っていきますと、
宮司さんは次々と返答してくださりました。

ここでは詳細を書くことができませんが、お話しの中には、
知識が乏しい私でも驚くような話もあり、
「いま 日本の歴史全体に関わる重要な話をされている」
と直感しました。


ちなみに私が着目した点は、たとえば・・・

① 当時、奥宮の入り口近くの石に 六芒星の紋章 が刻まれていました。
  (現在は 三つ巴の紋に替えられています)

  それだけでも十分に謎なのですが、私が宮司さんに伺ったのは
  社殿の幟旗にあった 下り藤の紋 についてでした。


② また、全国にある稲荷神社の総本山は伏見稲荷大社で、神使はキツネです。
  けれども、この神社の境内にある稲荷社の神使はキツネではなく龍でした。

  それを知り 私は、どちらの伝承がより古い時代のものなのか…、そして
  伏見の稲荷神と何か違いはあるのか… を質問いたしました。


③ 帰り際に 私が「このあと 山陰を海沿いを走って出雲大社に行く」と伝えましたら、
  宮司さんは「行っても意味が無いです。何も無いですから。」と仰いました。

  当時はその意味が分からず 私は出雲へ向かいましたが、その後もずっと
  この時の「なぜ?」を追究し続けました。

  ちなみに、今なら宮司さんの言葉の意味が分かるような気がします。

  ①と②についての質問を私がしなければ、きっと③の言葉は無かったと思います。



この神社を訪ねて いろいろと話を聞けば きっと疑問が晴れる… と思っておりましたが、
聞けば聞くほど新たに興味が湧き、次々と新たな疑問が生じるのでした。


今思うと、古代史の初心者の私にとって 最初の導入としては
最高に恵まれた状況だったと実感しています。





この時、宮司さんより 一冊の古代史に関する書籍を薦められて、
かなり難解な内容でしたが 時間をかけて読みました。

後に感想を手紙でお送りしたり、翌年もう一度訪問した際には
本の内容についてお話を伺ったり、宮司さんには
本当に多くの貴重な学びをさせていただきました。



 (2)に続く・・・


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